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音程に関する考察-その2 [音程]

 昨日の話に加えて、「オクターブ伸張現象」というものがあります。
 バイオリンやフルートなどのプロの演奏者は、旋律の中で1オクターブ跳躍する部分ではその周波数比をわずかではあるが2よりも広くとっているという結果が得られているそうです。(同時に演奏する場合は2にしている) 一方、アマチュアの演奏者はチューナーに頼りがちなため、音程が低めになりがちとのこと。
 また、聴覚心理学の実験でも、純音の心理的オクターブは物理的オクターブよりも広いことが複数の研究データで得られています。
 これは、音響波形の周期が聴神経の中でパルス時間間隔という神経情報に変換されるときに起こるずれによるもの、という理論があります。
(以上、参考文献は昨日と同様の日本音響学会誌59巻3号(2003)p.153〜158、大串健吾著「音の高さに関する生理・心理学と楽器のチューニング」)
 実際、3月4日のBlogで書いたような方法で生演奏と打ち込みを同時に鳴らしていると、チューニングをしてもなお生演奏は音程をずらしている部分があることがわかります。

次の例は、バイオリンの4オクターブを同時に鳴らした後、普通に1音ずつならしたものです。(オクターブ伸張なし)


次の例は、同時に鳴らす音はそのままで、1音ずつの音はピッチベンドを0/512/1152/2048と徐々に大きくしたものです。(オクターブ伸張あり)


こちらの方が、オクターブが正しく鳴っているように聞こえると思います。

ちなみに、次の例は、同時に鳴らすところでも前と同じピッチベンドずらしを行ったもので、きちんとハモっていないのが分かるかと思います。


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コメント 3

cap

オクターブ伸張ありのデータ、これはピッチが上がり過ぎで
最後の2音は少なくとも正しく鳴っているようには聴こえませんでした。
逆に、オクターブ伸張なしのデータ、3番目の単音が低く感じました。
by cap (2007-04-03 08:39) 

にょしにい

capさん、ご意見ありがとうございます。
使用しているVSLの音が多少音程がずれている可能性もあります。(特に強く弾いた音は音程が怪しく思われます) また、絶対音感を持っているとオクターブ伸張が起きにくいのかも知れません。いろいろ実験してみるのも面白いかと思います。
by にょしにい (2007-04-04 00:42) 

まゆちゃん

とても興味深いことをなさっていますね。
似たような事といったら口が過ぎますが、DTMと生楽器の間を考えるコミュをやっています。
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2614128
by まゆちゃん (2007-10-02 18:34) 

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