バイオリンの音程 [音程]
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サンプリング音源は人間が弾いたものをそのまま録音しているので、特にバイオリンのようにメロディ中で微妙に音程を調整するようなものは、単音で録音すると毎回同じ音程になるとは限らないのではないでしょうか。
しょうがないので、あちこちピッチベンドで音程を修正し、さらに表情付けで音の頭の音程を少し上げるなどして、VSLのAppasionata Stringsと、HORIZON Opus1、更にEWQLSO Goldの3種類の音源を重ねてみました。結構いい感じになったと思います。
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全楽器を合わせたものは4月21日のBlogで聞いてください。
サックスの音程 [音程]
このサンプリング音源は、Logicのチューニング設定が効かないのか、当初他の楽器と比べてかなり低めの音になっていたので、ピッチベンドで相当音程を上げました。
もともと、作曲者の指示でSaxがない場合はクラリネットでもよいとなっているので、あまりSaxらしさを強調する必要もないと考えて、おとなしめの打ち込みをしました。
4月21日のBlogで聞いてください。
弦楽合奏の音程調整 [音程]
その他、前半部分もバイオリンの音程を調整しています。2007年4月3日のBlogにも書きましたが、バイオリンの高い音はより高めに鳴らしたり、旋律部分は音階間の差を大きめにして、自然に聞こえるようにしました。実際、高い部分は半音の1/4くらい高くしています。
「テンポもritartandoをもう少し効かせてもよいかと。」に関しては、ほんの少し速度の落とし方を変えてみました。
修正前
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修正後
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修正したものの全曲演奏は2月23日のBlogで聞いてください。
不協和音が不協でなくなるとき [音程]
最近、次の本を読みました。
音律と音階の科学―ドレミ…はどのようにして生まれたか (ブルーバックス 1567)
- 作者: 小方 厚
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
この本にはいろいろ興味深いことが書かれていますが、最後のほうに楽音のスペクトルをいじいる話があります。
通常の楽音は整数倍波を多く含むため、3度、5度、8度などがよく協和するのですが、整数倍でない周波数成分をもつとこの基本が成り立たないという話で、例としてガムランがあげられています。
この話を読んだあと、12月12日のBlogで書いたように、ポカリスエットの音の周波数分析をしたら、まさに整数倍でない倍音を含んでいましたので、実験をしてみました。
ポカリスエットのボトルを叩いた音を、ピッチシフトで-973セント、0セント、+811セントずらした音をつくりました。
これを同時に重ねても、あまり不協和音に感じません。
比較のため、ピアノ音源で同じように-973セント、0セント、+811セントずらした音をつくりました。
これは重ねると当然不協和音に感じます。
ヤンソンスが電子オルガンを使った理由 [音程]
11月20日のBlogに書いた、マリス・ヤンソンスの演奏会で「ツァラトゥストラ...」でサントリーホールのオルガンを使わずに電子オルガンを使った理由を、ジャパン・アーツお客様サービスセンターの方がこの日のBlogのコメントに書いてくださいました。
サントリーホールのオルガン(443Hz)とオーケストラのピッチ(442Hz)が違っていたから、ということですが、さすがヤンソンスですね。1Hzの差も妥協しないとは。
そうだとすると、全体的に落ち着いてまとまりがよく感じたのも、音程が純正律に近く揃っていたからではないかと想像されます。
ところで、他の指揮者はこういう場合、どうするのか、訊いてみたいものです。
締めは純正律で [音程]
ベルリオーズ 幻想交響曲第4楽章の170小節から最後までの9小節は、調号はb(フラット)2つですが、実際の音は#(シャープ)1つのGdurになっています。
第1バイオリンの一番上の音は最後の4小節でG-H-D-G、移動ドではドミソドとなっています。
ここで普通に打ち込むと、平均律なのでミの音が高めになります。(4月9日のBlog参照。)
分かり易いように弦楽器パートだけ鳴らします。
ここでは、純正律に近づけるため、トラックを分けてミの音(H)のトラックを14セント下げます。
どうでしょう、少し落ち着いた感じになったように思います。
脳は音楽をどう処理するのか [音程]
少し前に発売になった本を買ってみました。
感覚と錯覚のミステリー―五感はなぜだまされる (別冊日経サイエンス 157)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
この中に、「脳を揺さぶる音楽」という記事があり、脳は音楽をどう処理するのかについて最近の研究で分かったことが紹介されています。
それによると、音の高さ(周波数)を認識するのは蝸牛の基底膜と、その内側の有毛細胞なのですが、どの周波数により強く反応するかは学習によって容易に変化するようです。
10月9日のBlogに書いた、半音の違いが聞き取れないというのも、何度も聞いていると強調していないものでも聞き取れるようになってきましたし、オーケストラの曲も何度も聞いているといろいろな音が聞き取れるようになることも、脳のしくみに関係しているように思います。
自分で打ち込み中の曲も、自分ではちゃんとできているように聞こえても、他のひとが聞くと違和感があり、自分でも時間をおいて聞き直すと違和感がある、といったことがよくあります。これも自分の頭で音量バランスを変えてしまっているためではないかと思われます。
半音が聞き取れない [音程]
ベルリオーズ 幻想交響曲第4楽章の92小節目の第2バイオリンには次のように同じ音形で16分音符が半音ずれたものがでてきます。
これを譜面通り鳴らすと、こうなります。
半音のずれは、かなり分かりにくいと思い、1回目の方の音程をわずかに(18セント)高くした上、入りの瞬間だけを更に高め(50セント)にして、2回目は高くしない(0セント)ようにピッチベンドを入れると、こうなります。
これならば違いがわかるかと思いますが、やりすぎでしょうか?
出だしのトリル [音程]
ショスタコービッチ 交響曲第5番第4楽章の出だしのトリルの打ち込みで、いきなり苦労しています。
まず、ベースとなる音程はDです。
ピッコロ、フルート、クラリネットピッコロ、ティンパニはDのトリル、
ファゴット、トランペット2、トロンボーン1&3、テューバはD
で、これらを鳴らすと次のようになります。
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なお、ここではピッコロとフルートは目立つように少し音程を高めにしています。
次に、3音のFは、クラリネット(トリル)、トランペット1&3、トロンボーン2で、
5音のAはオーボエ(トリル)、ホルンです。
Fの音程は高めにしています。
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問題は、コントラファゴットがGになっていて非常に違和感のある音になります。
木管のみで合わせると次のようになります。
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(2007/7/31 訂正)
コントラファゴットはDの間違いだと思われますので、修正します。また、VSLのOpus2のマニュアルも間違っていて、Octave offset:0と書いてありますが、実音は1オクターブ下の音がでるようになっていました(Octave offset:-1)。通常、コントラファゴットは記譜より1オクターブ下の音が鳴ることになっていますが、結局打ち込みは譜面通りでよかったことになります。これも合わせて、D3の音程で打ち込みます。
木管のみで合わせると次のようになります。
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全部合わせると次のようになります。
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音程に関する考察-その4(純正律) [音程]
音程に関して最も興味深い話題は純正律だと思います。
理論的に3つの音を同時に鳴らしてここち良く響く条件は、周波数の関係が単純な整数比になっていることです。
長三和音の関係は4:5:6になっていることが理想です。主音との関係をセントで表すと386,702セントですが、平均律では400,700となってしまい、誤差は+14,-2セントです。ベンドレンジ2ならピッチベンド値で+573,-82です。
短三和音の関係は10:12:15になっていることが理想です。主音との関係をセントで表すと316,702セントですが、平均律では300,700となってしまい、誤差は-16,-2セントです。ベンドレンジ2ならピッチベンド値で-655,-82です。
例として、チャイコフスキー 弦楽セレナーデ第1楽章の5〜8小節で示します。(すっかり変なイメージがついてしまった感がありますが。) この部分の最初と最後の和音がC-durになっていますので、Eのピッチベンドを-573、Gのピッチベンドを+82とします。
バイオリンの一番上の音(ソーファミレーミミー)は次のようになり、ミ(E)が低めに聞こえます。
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しかし、これを全体で合わせると、きれいな響きとなります。
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参考までに、全て平均律で演奏すると、次のようになります。
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違いは分かりにくいですが、少し落ち着かない感じがするように思います。